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胆汁は肝臓で作られます。
胆のうでは胆汁を一時的に貯めておきます。
肝臓で胆汁という消化液ができて、胆管を通って腸へ流れ込みます。
胆のうは胆管の途中にあり、胆汁を一時的に貯めておく働きをしています。(貯めている間に水分を吸収して濃い胆汁にします)
食事をして食物が胃に入ると、胆のうが収縮して胆汁を排出し消化を助けます。
胆石の位置により症状はさまざまです。
胆石があっても”痛くもかゆくもなんともない”ことも多いのです。
胆のうの出口に石がつまって塞がると上腹部や背中が痛くなります(胆石発作)
”しくしくするような軽い痛み“から”のたうちまわるくらい強い痛み”まで、様々な程度の痛みが数時間続きます。
また胆のうの中で化膿をおこすと、痛みが持続し38℃以上の熱がでて、直ちに入院が必要となります(急性胆のう炎)
今まで症状が全くない方でも、ある日突然に急性胆のう炎をおこすことがあります。
症状がない場合の治療の選択肢として3つあります。
これら3つの選択肢にはそれぞれ一長一短があり、どれが正しくてどれが間違いということはありません。
症状がない状態が続くならばこのまま様子をみていれば良いのですが、今まで症状がなかった胆石が、ある日突然痛くなることもまれではありません。特に急性胆のう炎を発症すると、強い痛みや高熱がでて大変苦しむことになります。
また胆石を溶かす薬を飲む治療でも、石が溶けてなくなる確率は30%くらい(2年間の内服治療後)です。
腹腔鏡手術の発達で負担が少ない手術ができるようになり、症状がない胆石でも手術を受ける方が最近増えてきました。
この場合には手術が必要です。
痛みや発熱はいったん治まっても、繰り返すことが多いためです。
テレビカメラを使用した腹腔鏡手術の発達により、腹部に2ミリから1センチの創を2、3箇所あけるだけで手術ができるようになりました。腹腔鏡手術には、手術後の痛みが少ない、腸の動きの回復が早いため術後数時間で食事をとることができる、などの利点があります。
日帰りや一泊入院での治療が可能で、仕事や家庭の事情で長期間入院する時間がなかなかつくれない方には最適です。
“これさえ気をつけておけば胆石はできません”というものはありません。
胆石の主な成因は
などがありますが、この他にも様々な要因が重なって胆石ができると考えられています。 米や魚中心の食事をしていた昔の日本人でも、胆石で悩む人はいました。(胆石の成分は現代の胆石とは異なります)
胆石を溶かすウルソという薬が、症状(痛みや発熱)のない胆石の治療に使われています。この薬により胆石が溶けてなくなる可能性は、約30%です(15mm以下の胆石を持った方が2年間内服続けた場合)。つまり毎日薬を飲み続けていても、7割の方の胆石は溶けてなくならないのです。
たとえ胆石が溶けてなくなったとしても薬の内服を中止すると、約半分の方に(5年以内に)胆石が再発するといわれています。
胆のうには、胆汁を貯めておくほかに、貯めていた胆汁の水分を吸収して濃い胆汁にする働きがあります。
胆のうを取った後は、胆管がこの働きを代わりにしてくれます。手術後に便が少し軟らかめになることがありますが、1ヶ月程で元に戻ります。
結石だけ取って胆のうを残しておくと後でまた胆石ができてしまうので、胆のうも摘出するのが標準的な手術です。
胆のう癌と胆石の関係は、すこしややこしいです。
胆のう癌の患者の70%に胆石が認められます。そのため胆のう癌の原因の1つとして胆石が考えられています。
しかし逆に胆石のある方に、胆のう癌ができる可能性は1%しかありません。そのため例えば100人の胆石患者に"ほっておくと胆のう癌になるから手術しましょう"といって手術したとすると、99人には不必要な手術をしたことになります。胆のう癌は比較的稀な癌であるのに対して、胆石は一般的で多い病気なため、このようにややこしい関係になるのです。
これは交通事故(胆のう癌)と車の運転(胆石)の関係に例えて考えるとわかりやすいです。交通事故には、ほとんど車が関係しています(車と車、車と人など)。一方で車の運転で、交通事故を起こしたことがある人はごく一部でしょう。車の運転により交通事故は起こりますが、交通事故をなくすために車の運転をすべて禁止しなければならない、ということはありません。
胆石と胆のう癌は無関係ではないけれど、"将来癌になるから胆石を手術した方が良い"というのは少し言い過ぎだと思います。
胆石が胆のうの出口を塞いで化膿をおこした状態が、急性胆のう炎です。持続する痛み(右上腹部痛)と38度以上の発熱が主症状で、入院が必要になります。治療は
胆のうポリープの治療方針は、主に大きさや大きくなる速度で決まります。
上記以外でも検査で悪性を示唆する所見があれば、小さな胆のうポリープでも手術が必要になります。
痛みが少なく回復が早いなどの利点の多い腹腔鏡手術ですが、技術的には難しく様々な医療事故も報道されています。
腹腔鏡手術には従来の開腹手術とは異なる特有な手技や合併症があり、しっかりした技術と知識、経験がないとその利点を生かすことができません。そのため日本内視鏡外科学会(腹腔鏡手術をする外科医の学会)では平成17年から技術認定制度を始めております。実際の手術手技を審査して認定をおこなっており、一般の方が担当医の技量を判断する指標の一つにしていただけるものです。
私(加賀谷)もこの内視鏡外科学会の技術認定医ですので、安心して手術を受けていただけます。
術後1週間目の状態です。
傷はほとんどわかりません。
一番の利点は体の負担が少ないことです。
従来の開腹胆石手術では20cm程の大きな創が必要でした。腹腔鏡手術では2mmから10mmの創を2カ所から3カ所あけるだけすみ、これらを全て足しても2cm以下の創にしかなりません。20cm切った場合と2cm切った場合を比べて、どちらが楽で負担が少ないかは明らかです。
高齢や持病があるなど従来の手術だと術後の回復が難しいような症例でも、腹腔鏡手術では体への負担が少ないため安全に行えるようになりました。
また手術を10mmと2mmの2つの創で行い、10mm創をへそに重ねて切る術式では傷跡がほとんど目立ちません。美容面で優れ女性に好評です。
| 腹腔鏡手術 | 開腹手術 | |
|---|---|---|
| 歩行 | 帰宅し、近所への外出もできる | 入院中で、トイレ歩行がやっと |
| 衣服の着脱、洗顔 | 自分でできる | 介助が必要(痛みのため腕が挙りにくい) |
| 食事 | 普通食が食べられる | 絶食または水分のみ |
| 痛み止め | 内服薬などの弱い鎮痛剤で痛みがコントロールできる | 注射薬など強い鎮痛剤でないと痛みが収まらない |
1) 炭酸ガスを腹腔内に注入して、手術をおこなうスペースを確保します。
2) テレビカメラで観察しながら、胆のうの周囲を剥離します。
3) 切除した胆のう(中に胆石が入っています)を、10mm創から外に取り出します。
手術は30分ほどで終わります。
また胆のうを切除する際に胆のう管(胆のうの出口の管)は、吸収糸(2ヶ月程で溶けてなくなる糸)で縛ります。吸収されない糸やクリップで胆のう管を処理すると、これらが胆管内に食い込み胆管結石の成因となるためです。
2ヶ月程で溶けてなくなる糸を使用して、皮膚表面に糸がでない埋没縫合法で縫いますので抜糸はしません。
また皮膚切開部に生体用瞬間接着剤を塗布しますので、手術翌日からシャワーを浴び、3日目から湯船につかることができます。入浴時にビニールなどで創を覆う必要はありません。
帰宅後の創の消毒やガーゼ交換は不要です。
手術1週間後に1回診察します。その時点で異常がなければ終了です。
手術の合併症(トラブル)には次のようなものがあります。
いずれも可能性ごくわずかで、リスクの高い手術ではありません。
手術の安全には十分に配慮しておりますが、実際には合併症がゼロという手術はありません。
合併症のおこる可能性について十分にご理解いただく必要があります。