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肛門には外側の痛みを感じる神経がある部位と、内側の神経がない部位があります。外痔核や裂肛は、痛みを感じる神経がある部位にできるため、強い痛みがあります。初期の内痔核は、痛みを感じない部分にできるため、出血するだけで痛みはありません。
肛門の外側に急にしこりができて、強く痛みます。前日に重いものを持ったり深酒をした翌朝に起きると、肛門が痛み、しこりができていることに気がつきます。病因は、肛門粘膜下でおこった内出血です。痛みを感じる神経のある部位に内出血がおこるため、強い痛みを感じます。放置しても5日程で痛みは軽快しますが、早めに切開して血の固まりを取り出すと楽になります。
肛門のうっ血や、肛門粘膜支持組織の破綻が内痔核の原因です。排便や出産の時に強く"いきむ"ことで、うっ血や支持組織の破綻がおこります。その結果として、肛門内部が膨らみ内痔核となるのです。初期には神経のない肛門内部のみが膨らむため痛みはなく、排便時の出血だけが症状です。 進行して神経のある肛門外側まで膨らみが広がると、出血だけでなく痛みや脱出(排便時にしこりが肛門外にでてくる)を認めるようになります。
何日も便秘をした後に硬くて太い便を無理に力んで出すと、肛門が裂けて裂肛になります。神経のある肛門の外側が裂けるので、排便時などに激しく痛みます。 便を軟らかくして、傷がさらに裂けないようにしておけば通常は1週間程で治ります。しかし便通のコントロールができずに"傷が治りかけては、また裂け"という状態を繰り返すと、慢性化し肛門に潰瘍やポリープができたり、肛門が狭くなったりして手術が必要になります。
肛門と直腸の間にある肛門腺の感染が原因です。虫歯で歯に穴があくように、肛門線でおこった感染により肛門の脇にトンネルができます。このトンネルが肛門の外側に開口し、膿がでる状態を痔瘻といいます。下着の肛門のわきの部分が、いつも黄色いシミで汚れるようになります。またトンネルの途中に膿の固まりができたものが、肛門周囲膿瘍です。膿瘍ができると発熱し、肛門周囲がはれて、椅子に座れないほど痛くなります。
痔瘻は自然治癒せず、薬も効かないため手術が必要です。治療せず10年以上も放置しておくと、癌化する可能性があります。
手術はトンネルにゴム輪を通すシートン法をおこないます。シートン法は、便失禁などの合併症や再発が少ない手術法で、日帰りで治療できます。
肛門に負担をかけない生活習慣を身につけることが重要です。
最も重要なものは上記のような生活習慣の改善です。軽度の痔であればこれだけで治ってしまうことも多いです。
逆にせっかく手術をしても術後に不摂生を繰り返していると、痔は再発します。術後も肛門に負担をかけない生活習慣を心がけてください。
中程度以上の痔には手術が必要です。手術法には
があります。PPHやジオンによる硬化療法は痛みが少なく、日帰り治療が可能です。
最近では痔を切る結紮切除法でも痛みを少なくする工夫がされ、日帰りや1泊入院で治療できるようになりました。
全ての痔に全ての手術法が適応できる訳ではありません。それそれの痔のタイプに応じて、手術法を選択します。
初期の内痔核で出血だけが症状の場合には、ゴム輪結紮法やジオンによる硬化療法を行います。
肛門の外側にまでしこりが広がっているような場合には、結紮切除を行います。
肛門全周に痔が脱出するような症例には、PPHが最適です。
また、痛みや出血などの合併症が少なくなるように2つ以上の手術法を組み合わせることもあります。
特殊な器具で肛門の奥を2cm程切除し、たるんだ肛門粘膜を引き上げます。ズボンがずれ落ちて、足元にたるみができた状態を想像してみてください。膝の辺りでズボンをたぐると、足元のたるみはなくなりますね。これと同様に直接肛門を手術するのではなく、その奥を切って裾上げすることにより粘膜のたるみを治してしまいます。肛門の奥は狭く直接切るのは難しいため、筒状のメスやホチキスのように縫う機能が内蔵された特殊な器具を使用します。痛みを感じる神経がない部位を切除するので、術後の痛みがほとんどないのが特徴です。日帰り治療ができます。
筒状のメスと、ホチキスのように縫う機能が内蔵された特殊な器具を使用します
特殊な器具で肛門の奥を2cm程切除します
たるんだ肛門粘膜がひきあげられ、痔が治ります
硬化療法とは、薬を注射して痔を治す方法です。痔の硬化療法そのものは昔からありましたが、治療直後は良くても再発しやすいのが欠点でした。新しく開発されたジオンは、この欠点を克服したもので、再発率は従来の切る手術(結紮切除法)と同じといわれています。痔の部分に直接ジオンを注射することで、膨らんだ痔が平らになり、出血や痛み、脱出などの症状がなくなります。術後の痛みもほとんどなく、日帰りで治療できます。
またいわゆる"血液さらさらの薬"(抗凝固剤、抗血小板剤)を内服している場合でも、治療前に薬を中止する必要はありません。
肛門の外側にも膨らみがあるような場合には、硬化療法と結紮切除を組み合わせて治療します。
内痔核の4ヶ所にジオンを注射します
痔の膨らみがなくなり、症状が改善します
PPHや硬化療法では糸は使いません。結紮切除術では溶けてなくなる糸を使用するため、抜糸は必要ありません。
手術当日からシャワーを浴びられ、翌日から入浴(湯船につかる)ができます。
帰宅後、自分で創の消毒やガーゼ交換をする必要はありません。排便後は紙で拭かずに、お湯で軽く洗って
ください。
手術1週間後に1回診察します。その時点で異常がなければ終了です。
痔核手術の合併症としては、次のようなものがあります。手術法により多少の差異があります。
いずれも可能性はごくわずかで、リスクの高い手術ではありません。
手術の安全性には十分に配慮しておりますが、実際には合併症がゼロという手術はありません。合併症のおこる可能性については十分にご理解いただく必要があります。